透過電子顕微鏡:TEM(Transmission Electron Microscopy)
超薄切片法
細胞・組織の微細構造をできるだけ生体の状態に近く保ってその内容構造を観察する上で最も正統的・一般的な観察法。
凍結超薄切片法
凍結させた試料から直接電顕用の超薄切片を作製する方法。化学的変化を与えず、生の状態に近い像を観察する事ができる。また試料内の物質の分布を正確に検出するためにも応用されている。
急速凍結固定法
試料を急速に凍結することで細胞の構成要素を氷の中に封じ込めて物理的に固定する方法。凍結技法の難点である細胞中の水分を凍結する事で生じる氷晶形成による構造破壊を、急速に凍結する事により最小限に抑えた方法である。化学固定よりもアーティファクトが少なく、瞬時に固定することで早い変化を固定する事ができる。
加圧凍結固定法
高圧下では水の融点が低下し、細胞損傷の原因となる氷晶形成が常温よりも起こりにくいという特性を生かして、ダメージの少ない良好な凍結固定試料を得る方法。従来の急速凍結法よりも遥かに細胞の深部まで明瞭な像が得られる。
凍結置換固定法
凍結固定法と凍結置換法を組み合わせたもので、物理的に固定した試料を低温に冷却したアセトンに浸して試料中の水分とアセトンを置換する事によりアセトン中に溶かした化学固定剤で固定する方法。微細構造の変形、物質の移動、抽出が少ないという特徴がある。高解像力を持った微細形態分析が可能である。
フリーズレプリカ法
細胞を凍結割断し、その割断面を白金蒸着して得られたレプリカを透過電子顕微鏡観察する方法。この他に、割断面から氷を昇華させて氷中に埋まっていた構造を露出させてからシャドウイングするフリーズエッチング法という方法もある。この方法では膜の割断面のみならず、膜の真の表面や細胞質の繊維構造などが露出されるので、これらを立体的に観察する事ができる。
フリーズレプリカラベリング法
上記フリーズレプリカ法で得られた膜上で免疫標識する事によって、特定の膜タンパク質の局在を可視化する方法。
ネガティブ染色法
電子線に対して透過性の悪い染色液で生体高分子粒子を包んだ時に、周辺より電子線の透過性が高い粒子の方が負のコントラストとして表される総称。試料に孔、亀裂、くぼみ、溝があると正のコントラストとして現れる。非常に簡単な操作で高分解の解像を得る事ができるために広く利用されている。
シャドウイング法
電子線散乱度の大きな金属を真空中で加熱蒸発し、試料に斜め上方から蒸着して金属が蒸着する部分、しない部分を作る方法。蒸着した部分からは試料の形状や表面形態を、蒸着されない部分からは試料の立体形状や高さを知る事ができる。
免疫電顕法
組織や細胞内に存在する抗原の局在を、抗体を用いる事により電顕レベルで検出する方法。
|