平塚らいてう賞

学校法人 日本女子大学

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第2回(2006年度) 平塚らいてう賞

顕彰:受賞スピーチ

ドキュメンタリー映画監督 海南友子(かなともこ)氏

顕彰  海南友子氏

 本日は平塚らいてうという大変大きなお名前のある賞を頂き、ありがとうございました。私は日本女子大学の附属中学、高校、大学と10年以上もここで学んできました。自分自身あまりいい学生だったという思いはありませんでしたので、受賞の一報が入ったときには飛び上がるほどに嬉しかったです。
  私は日本女子大学で学んでいる間に二つの大きな教えをいただいた気がいたします。
 一つは日本女子大学には平塚らいてうをはじめ、明治、大正、昭和の時代に社会の第一線で活躍された諸先輩がたくさんいたことを附属中学、高校時代に繰り返し教えられたということです。この中で私は自立して生きることを自然に学んだという気がします。
  もう一つはどんなに難しい問題にも正面から取り組むことの大切さを教えられました。一番印象的なのは中学の時に、「自衛隊は合憲か違憲か」という問いを出され、一ヶ月かかって調べて自分の意見を言うという宿題を出されたときでした。その最後の授業で先生は答えをおっしゃらずに、こう言われました。
「あなたたちが実社会に出て自分の体験から見つけていくものだ。世の中にはそうのような問題が一杯あるんですよ。」
 今私が取り組んでいる仕事(ドキュメンタリー)はとても地味なものです。重いという人もいます。 テーマによっては、様々な方からご批判も受けるときがあります。また「戦争なんかなくならない」というご意見をいただくときあります。ですから、時々、自分自身挫けそうになることもありますが、そんなとき私は日本女子大で女性の参政権や権利のために力を尽くした先輩達を思います。彼女たちはこの運動に一生を尽くしたにもかかわらず、女性に参政権が出来た社会を見ることなく亡くなっておられるはずです。
 現在、すぐに戦争は無くならないかもしれません。ですが、自分が亡くなった後、50年後か100年後、あるいは何百年後かに戦争のない世の中ができるかもしれません。私はそんな小さな希望を、日本女子大学で学んだ「どんな問題にも正面から向き合って考える」という姿勢で日々活動を続けています。
 本日はどうもありがとうございました。

2007年2月10日

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