受賞者・受賞団体紹介

prize

過去の受賞者・受賞団体

※所属、役職等は受賞当時のものです。

第16回(2022年度)受賞者・受賞団体

顕彰

婦人国際平和自由連盟(WILPF)日本支部

顕彰

池上 清子 氏
(長崎大学大学院熱帯医学・グローバルヘルス研究科 客員教授)

奨励

元橋 利恵 氏
(大阪大学人間科学研究科 招へい研究員)

顕彰

婦人国際平和自由連盟(WILPF)日本支部
研究テーマ 婦人国際平和自由連盟(WILPF)日本支部の100年の歩み-ジェンダー平等と平和の構築-
受賞理由

 当該応募団体は、世界で最も早く、戦争によることのない、人類の世界平和を望む女性によって結成された、世界婦人平和自由連盟の日本支部として、1921年に、婦人平和協会の名称で設立されて以来、101年の星霜を重ねてきた。政治・思想・宗教的立場の相違を超え、長きにわたり世界平和、男女共同参画、ジェンダー平等の実現をスローガンとした活動を続け、その時その時に応じたテーマに取り組む研究活動を行いながら、社会の持続性を探求し続けてきた。
 会員の多くは、成瀬仁蔵、新渡戸稲造らの薫陶を受けた日本女子大学の卒業生であったが、支部や会員の活動は高い評価を受けるとともに、常に現前の課題へのコミットメントを行っている。また、この一貫した取り組みは、その持続性において評価しうるものであり、これまで重ねられた努力は、「平塚らいてう」賞として顕彰するに十二分に値する。
 今後は、活動を引き継ぐ次世代を育成し、社会への発信力をさらに培い、活動の輪をますます広げていくことを希望する。


顕彰

池上 清子 氏
(長崎大学大学院熱帯医学・グローバルヘルス研究科 客員教授)
研究テーマ 開発途上国での母子健康手帳を使った母子保健の推進とその評価
受賞理由

 池上氏は、長期にわたり国連の国際公務員として国内外で活動を続け、リプロダクティブ・ヘルスに取り組み、近年は、世界平和と男女共同参画社会の実現を担う次世代の研究者、実務家を育てる努力を重ねてきた。国際NGO、プラン・インターナショナル・ジャパンの理事長として、子どもの権利を尊重し、途上国の女の子たちを支援するBecause I am a Girlキャンペーンを推進、SDGsの掲げる「誰一人取り残されない社会」を作りあげるために、その裏付けとなる科学的なデータの収集を行う活動を実践している。
 今回の活動のテーマは「開発途上国での母子健康手帳を使った母子保健の推進とその評価」である。実践例は、バングラディシュの農村で母子健康手帳、モバイルヘルスを用いての母子保健の推進活動であり、その結果も報告された。それに拠れば、妊婦健診の受診率が向上し、分娩・健診施設が改善され、新生児死亡率が低減したことが認められる。池上氏の目指すものは、女性の能力を強化し、女性自身と子どもの健康を増進させる活動である。
 今までの国際社会への貢献に加え、世界平和、男女共同参画社会の実現を俯瞰的に捉えるとともに、実現可能な活動の実行とその実証研究を行い、それをもとにさらに活動を発展させるという優れた実践方法を高く評価し、顕彰にふさわしいと判断するものである。


奨励

元橋 利恵 氏
(大阪大学人間科学研究科 招へい研究員)
研究テーマ 日本におけるマザリングの包括的研究
受賞理由

 今回提出された主要な研究成果は、『母性の抑圧と抵抗-ケアの倫理を通して考える戦略的母性主義-』(晃洋書房、2021年2月)である。本書は、担い手の多くが女性であるがゆえに非政治的なものとみなされ、公的社会において重要な価値を持たないとされてきたケアの営みが、じつは社会の基盤を作る重要なものであると高く評価するケア・フェミニズムの考え方を整理し、対象者との間に深刻な葛藤を抱えながらケアの遂行に努力するケアの担い手の経験や思考の中にこそ、普遍的価値があり既存社会を変革していく潜在力があると示した。ケアの担い手をエンパワメントし男女共同参画社会の実現に資すると期待されることから、受賞に値すると判断した。
 マザリングとは、ケア・フェミニズムで母が行うケアの活動に焦点を当てる用語である。母親業の実践によって培われる「母的思考」の持ち主は、狭義の「母」に限らない。今後、元橋氏は母親運動に注目する一方、インターセクショナリティーの視点を導入し、母親業を行う男性や福祉職員などの経験にも着目して検討を進めることを目指している。戦後の母親運動には平塚らいてうも関わっており、そこに新たな視点からの検討が加えられることも期待したい。


第16回 選考委員(五十音順)


  1. 坂本 清恵  〔日本女子大学 現代女性キャリア研究所所長〕
  2. 差波 亜紀子 〔日本女子大学 文学部 史学科教授〕
  3. 篠原 聡子  〔選考委員長/日本女子大学学長〕
  4. 高野 晴代  〔一般社団法人日本女子大学教育文化振興桜楓会理事長、日本女子大学名誉教授〕

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