受賞者・受賞団体紹介

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過去の受賞者・受賞団体

※所属、役職等は受賞当時のものです。

第19回(2025年度)受賞者・受賞団体

顕彰

DPI 女性障害者ネットワーク

奨励

坂本 悠愛 氏
(慶應義塾大学 文学部 人文社会学科人間科学専攻)

奨励

濵田 真里 氏
(お茶の水女子大学大学院 人間文化創成科学研究科ジェンダー学際研究専攻 博士後期課程)

顕彰

DPI 女性障害者ネットワーク
研究・活動テーマ 「障害女性の複合差別解消と社会的包摂の実現」
受賞理由

 「DPI 女性障害者ネットワーク」は 1986 年に設立された後、40 年もの間、国内のみならず国際的にも活動してきた女性障害当事者の団体である。設立当初より国際機関へも働きかけるなど、組織としての安定性があるだけでなく、活動実績も多く認められ、社会的インパクトも大きい活動を展開してきている。
 具体的には、声を聞いてもらいにくい立場にある、多様な女性障害者のニーズを集め、国内の法律や政策に提言を行ってきたことが挙げられる。また、女性差別撤廃条約、障害者権利条約においては、その審査に関わり、その解決に向けて、それまでの大規模な調査が反映されるように提言した点は高く評価されている。さらに、活動内容は社会的にきわめて重要なものであり、活動成果は日本社会に必要な包括的差別禁止法の基本にも必要な視点となっている。包括的、差別のない、誰一人取り残さない社会を構築するためにも、日本社会にとって不可欠な活動であり、情報収集から政策提言までと活動範囲も広い。


奨励

坂本 悠愛 氏
(慶應義塾大学 文学部 人文社会学科人間科学専攻)
研究・活動テーマ 「地方出身女子学生のためのシェアハウスの運営」
受賞理由

 坂本悠愛氏の活動は、地方出身女子の進学先の選択肢を広げるうえで障害となる住居問題に対処するため、東京都内で女子学生対象のシェアハウスの設立・運営を行うというものである。女子の場合、安全面への懸念から、家賃負担額が男子より嵩みがちであったり、家族の同意が得にくかったりと、男子に比べて進学先の選択余地が狭い傾向にあることが、近年注目されるようになった。坂本氏は大阪出身で東京の大学に進学した自らの経験からこの問題に関心を深め、現役の大学生ながら学生起業家チームを立ち上げ、社会問題の解決を事業化した。この行動力を、選考委員全員が高く評価した。
 クラウドファンディングを利用して築 50 年の空き家をリノベーションし、リサイクル家電を活用するという手法は、社会的関心を喚起し、空き家問題にも目を配りつつ低家賃を実現した点が優れている。現在はメンバーのボランティアによって支えられている事業の継続には難しさも予想されるが、今後ますますの発展と広がりを期待して贈賞する。


奨励

濵田 真里 氏
(お茶の水女子大学大学院 人間文化創成科学研究科ジェンダー学際研究専攻 博士後期課程)
研究・活動テーマ 「政治分野におけるハラスメントの実態と構造分析」
受賞理由

 濵田真里氏は、政治分野のハラスメントを大学院で研究する中で、女性議員を増やすためには女性議員を支援する人を増やしていくこと、特に議員に対するハラスメントをなくしていくことが必要であると考え、支援団体である「Stand by Women」を設立された。そこでは女性議員や候補者の相談にのることで相談者をエンパワーするだけではなく、サポートに関わる女性たちが政治家になることを自分のキャリアの選択肢として考えるようになるという連鎖を生み出している。
 女性の政治への参画は、平塚らいてうが市川房枝らと設立した「新婦人協会」の主要な活動目標であり、らいてうの理念を受け継ぐ業績であり、奨励賞にふさわしいとの意見で選考委員全員が一致した。
 日本では史上初の女性総理大臣が誕生したことで、女性の政治参画をめぐる議論は新しい段階を迎えた。女性議員が女性の直面する諸課題をどう変えていけるのか、指標が見えるような今後の活動に期待したい。


第19回 選考委員(五十音順)


  1. 池上 清子  〔公益財団法人プラン・インターナショナル・ジャパン理事長、
            公益財団法人アジア人口・開発協会副会長〕
  2. 差波 亜紀子 〔日本女子大学文学部史学科教授〕
  3. 高野 晴代  〔一般社団法人日本女子大学教育文化振興桜楓会理事長、日本女子大学名誉教授〕
  4. 永井 暁子  〔日本女子大学現代女性キャリア研究所所長〕
  5. 林 陽子   〔弁護士、公益財団法人市川房枝記念会女性と政治センター理事長〕

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