カモミールnetマガジン バックナンバー(ダイジェスト版)

 2021年7月号 

◇◆ 目次 ◆◇ ------------------------------------------------------------------

(1) 所長だより

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◇◆ 所長だより ◆◇

教員採用試験まっただ中で考える教員養成
           教職教育開発センター所長  清水 睦美

 今、教員採用試験まっただ中です。地域によって若干日程が異なるのですが、一次試験が6月末〜7月上旬、7月中旬〜下旬にかけて一次試験の合格発表、それを受けて8月〜9月が二次試験となります。大学全体から見れば、一般企業への就職希望者が就活の最終段階に入る頃に、教職希望者は試験が始まりますから、教職希望の学生の緊張もかなり高まります。

 こちらをお読みいただいているみなさんにとっては当たり前のことだと思いますが、学生にとっては、教職課程履修と教員採用試験が別物であることを理解することは簡単ではないようで、大学1年生や2年生にはかなりの理解不足が見られます。 しかしながら、卒業単位とは別に履修しなければならない教職課程科目を積み重ねていくなかで、ようやく、教員免許をとることと、自分が働きたい自治体や私学の採用試験に合格することで教員として採用されるということが、別であるということを理解するにいたります。この仕組みを理解できるかどうかも、教職に就く一つのハードルになっているように見えます。

 これを越えたところにあるハードルが教員採用試験になります。こちらもみなさんには当たり前のことだと思いますが「教員採用試験に合格する」ということと、「就職後の教員生活が順調である」ということは別のことです。
 しかしながら、ある意味当然のことですが、学生たちは同じことと考えてしまいがちです。

 センターでの教員採用試験対策講座では、就職後も生きる知識や技能を身につけてもらうことを前提としながら、内容を工夫して講座を組んでいますが、合格だけに焦点をあてる学生にとっては「これは試験に必要ですか?」という質問になって返ってくることもあります。
 そこで「採用試験対策をしながら、将来も生きる知識や技能、そして考え方を学ぼう」ということを共有することに時間を使ったりしています。そういうなかで、学生には教員として働くこことの意義や楽しみを知っていってほしいと願ったりしています。

 日本女子大学のような総合大学では、教員養成は小さなセクションです。しかし、その小さな窓から、合格と力量の両輪のバランスをとりながら課題に取り組んでいる学生たちが。多くの児童生徒と関わる壮大な未来に向かって羽ばたいていくことを感じるこの時期は、センターも忙しく苦労も多いですが、また楽しい時期でもあります。


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