永田典子    
 
 
 
   オルガネラ分化は細胞分化を支える基盤であり、オルガネラ分化の制御により多様な特性を細胞に持たせることができる。本研究の目的は、植物細胞においてオルガネラ分化をもたらす遺伝子、タンパク質、代謝産物の機能を微細構造学的アプローチで明らかにすることである。
 我々はこれまでに、オルガネラ分化に異常を示したシロイヌマズナ突然変異体を複数単離し、原因遺伝子を同定してきた。本研究では、これら変異体の電子顕微鏡レベルでの微細構造解析、また原因遺伝子及び発現タンパク質の組織・細胞内局在性の解析を行ない、オルガネラ分化に関わる新規タンパク質の機能を明らかにした。具体的には(1)葯タペータム細胞内特異的オルガネラであるタペトソームとエライオプラストの形成に関与していると予想されるHMG−CoA レゼクターゼ遺伝子の機能解析、(2)網羅的スクリーニングによって得られた葉緑体形成異常突然変異体を利用した、色素体分化に関わる新規遺伝子の解析である。